ちかまブログ

Twitterに書ききれない事を書きます。

劇場版『映画大好きポンポさん』紹介(ネタバレ無し)

 

f:id:chikamakun:20210620175603j:plain


pompo-the-cinephile.com

 好きな映画を聞かれると『ファイトクラブ』や『セッション』ってよく答えるな~と思いながら公式サイトのキャラクター紹介を見たら既に書かれていてそんな事ある? という事で、今回は6月に公開されたアニメーション映画『映画大好きポンポさん』の紹介記事です。

 

 本作は元々2017年にpixivにアップされていたweb漫画作品であり、人気を博して書籍化、そして今回の映画化企画が始まりました。

comic.pixiv.net

 自分は映画を観た後に上記のweb漫画を読みましたが、映画を観る予定があれば漫画の方は見ないでおくとより新鮮な状態で映画を楽しめると思います。それくらい良い映画化でした。

 

 タイトルにもあるポンポさんが主人公と思いきや、ポンポさんの下でアシスタントを務め、映画のCM作りがきっかけで初監督としてメガホンを取る事になったジーン・フィニの視点で物語は進みます。

 いわゆる「お仕事もの」を連想させるあらすじですが、どのように映画と向き合うか?というジーン中心の物語であり、私も大好きである『SHIROBAKO』のようなリアル路線のお仕事ものなどとは打って変わる構成でした。

 映画以外にも世にはありとあらゆる創作物が溢れています。人の数だけ創作への姿勢があり、プロデューサーのポンポさんや映画オタクであったジーンはそれぞれのエンタメ論を持っています。今まで摂取してきた創作物は勿論、生き方そのものも自身の創作に少なからず影響を及ぼしており、そこから生み出される個人の「エンタメ論」を軸に物語は動きます。

 現在創作に携わっている方、昔携わっていた方、志していた方、目指してなくとも憧れを持ったことのある方…… どんな方でも『ポンポさん』を見て心揺さぶられるのではないでしょうか。本作にはエンタメ性を秘めていて面白さを十二分に享受しましたが、それ以上に作中にて語られる「エンタメ論」の展開がひたすらに良かったです。私はブログの生産しかせず、大半が消費の趣味で楽しんでいますがそれでも刺さるものがありました。『ポンポさん』で一番推したいポイント。

 キービジュアルにも書かれている「幸福は想像の敵ーー」。作中でどのような意味を含んだ言葉になるのか? これ以上はネタバレになってしまうので、劇場で是非感じてほしいです。

 


 今回の映画化にあたって、アニメ版の『WORKING!!』や『SAO』などのキャラクターデザインを務めた足立慎吾氏のデザインにて漫画からリブート。ポップ調なデザインと色とりどりのカラーが作風と非常にマッチしていました。また、平尾隆之監督の脚本ですが原作にはいなかったオリジナルキャラクターが新たに追加されています。

animageplus.jp

 アラン・ガードナーというエリート銀行マンであり、ジーンのかつての同級生。映画作りには一切関係の無いキャラクターに見えますが、彼は本作もう一人の主人公と言える程の見せ場の持ち主です。どんな活躍をするのかもネタバレになってしまうので伏せます。

 『ポンポさん』の登場人物は全て映画作りに携わっていますが、このアランは例外。同時に、自分のように創作に全く携わっていない人の視点とも言えるでしょう。映画作りの物語においては異質な存在であり、アランを不要だと感じた人もいるかもしれません。しかし、アランの描写はどこか親近感を感じさせるようで、そして最後には物語の感動まで昇華させるものになりました。

 

 作中通してテンポが抜群に良く、一切の退屈を感じさせなかった構成も推しポイント。映画大好きというタイトルですが、長時間映画を観るのは苦手という方にも胸を張ってオススメ出来ます。

 

 公開している劇場は少なく、また上映時間が絶妙である事が大半ですので、もし気になっている方がいましたらいつの間にか公開終了する前に是非観てほしいです。

 最後に、『ファイトクラブ』と『セッション』はどちらもAmazonプライムで観れるのでそちらも是非。

www.amazon.co.jp

 

www.amazon.co.jp