ちかまブログ

本やゲームなどの感想、日記など。アイコンは @kei_K_odoshi 様から頂きました。

うつ病と迷惑をかけること

 田中圭一著『うつヌケ うつトンネルを抜けた人たち』(KADOKAWA)を読んだ。様々なうつ病当事者の経験を描いたコミックエッセイであり、筋肉少女帯大槻ケンヂやSF作家の宮内悠介などのエピソードも収録されている。下記は著書のエピローグからの引用(一部会話表現を分かりやすくするために追記・省略)。

 なぜ人はうつになるの?

 自分をきらいになるからーーこれは真理だと思うの!

 ”私さえこの場からいなくなればいいんだ…”

 もしこの言葉を自分じゃなく他人に対して言ったら

 ”あなたさえこの場からいなくなれば!!”

 人間関係が破綻しますよね

 本当だわ 他人を傷つけるのはダメで 自分を傷つけるのはOKなんて絶対にありえない

 自分も「他人」と同じなの!! 他人に気を使うのと同じくらい自分にも気を使ってあげて!!

 この「私さえこの場からいなくなればいいんだ」という精神は昔から根底にあったと思う。自己犠牲で済むのなら楽だしいいかと考えていた。でも引用通り、この精神を他人に強いることは厳禁だ。

 

昔を振り返ってみて

 物心のついた小学生の頃から父親は放任主義であり、加えて多忙な仕事で家を開ける時間が長かった。恐らくそれを受けて母親が一人でも躾をしなきゃと張り切っていたのだろう、そこそこ厳しく教育を受けたと思う。特に「人に迷惑をかけてはいけない」という理念が強く、何回も注意されたり暴力を受けていた。

 余談だが、私は恥ずかしいことに箸を正しく持てず、今でも矯正している最中である。しかし母はそのことに関して一度も注意していないなと不思議に思い、最近帰省した際に聞いてみたところ「箸を正しく持てなくても、他人に迷惑をかけないから別にいいと思った」と回答。極めて母らしい回答に納得できた。ここまで徹底して迷惑をかけないように注意して生きてきた。ちなみに箸の誤った持ち方で不快に思う人もいるはずなので、母には申し訳ないが人に迷惑をかける可能性は十二分にある。

 そのような徹底した教育の影響を受けて、正義感が強い人格になったと思う。良く言えば真面目、悪く言えば融通の利かない頑固な小学生であっただろう。自分も他人も厳しく律すべきという考えのもと、当時はよく衝突していた。

 もう少し年を重ねて、他人に厳しすぎるのは良くないと悟ったのだと思う。ただ後に自分や近しい人に悪影響を及ぼしかねないと考えたものには厳しく接しており「あなたさえこの場からいなくなれば!」と思うこともあった。今振り返ってみるとかなり極端で危険な考えをしていた。

 

社会人になってから

 危険な思考はやがて自分をも傷つけることになった。仕事で上手く行かなかった場合、「人に迷惑をかけてはいけない」理念の矛先は自分に向いてしまい、精神を追い詰めてしまった。そして命を絶てば自分も周囲も苦しみから解放されるという反出生主義のような考えに基づき希死念慮が生まれていた。「私さえこの場からいなくなればいいんだ」の誕生の経緯である。

 しかし”周囲も”苦しみから解放されるという考えは大きな誤りであることに最近気付いた。なぜなら、自死によって周囲の人は多かれ少なかれ傷を負ってしまうのだ。私と関わってくれた人たちは自分に何か出来たことはないだろうかと、答えが決して出ない命題を抱えてしまう。死人に口なしだ。今では冷静になるとこのように思考を整理できるが精神が追い詰められるところまで考えを及ぼすことはできなかったのだ。近くに妻がいて支えてくれてもなお考えられなかったので、うつ病希死念慮は非常に恐ろしい。

 

今後どう生きるか

 ここで「自分が周囲にポジティブな影響を及ぼしたことを忘れないようにする」はひとつのメンタルケアになりそうだと考えた。

 例えばゲームやカードなどで一緒に遊ぶことも該当するだろう。このようにブログで情報発信することも勿論アリだ。仕事では大した成果は無いものの、過去に一緒に仕事をした人から相談されることがたまにある。野暮用でも人から頼られると嬉しいものだ。ブログは見返しやすいが、イベントや仕事の出来事は見返しづらいので何か忘れない方法を考えたい。

 小さなことでも、「自分がいたことでできた」ことは自己肯定感に繋がる。他人のために行ったことが、回りまわって自分に返っており面白い。ある種の「情けは人の為ならず」だろうか。

 他人に迷惑をかけることは、故意ではないなら仕方ない。死ぬまでに失敗しない人はいないだろう。自分や近しい人に被害が生まれる可能性があっても、冷静に接するようになりたい。生きる上で迷惑はかけあっていくものということを前提とすると大分楽に生きれるかもしれないので、実践してみようと思う。

 

 

 マシュマロから温かいメッセージが届いています、ありがとうございます。

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