バーテンダー&サイバーパンクADV『VA-11 Hall-A』紹介（ネタバレ無し）
2021年一発目に購入&クリアしたゲームの紹介。
VA-11 Hall-A ヴァルハラ 日本語版 | Playism
vita,PS4,Switch,steamで発売しているビジュアルノベルゲーム。DL版は2,160円、steam版は1,500円とお手軽価格。プレイ時間も1周10時間程度。
フォロワーさんが描いていたキャラクターが可愛くて調べたら気になり始めたという、自分にとっては中々珍しいきっかけで手に取りました。
そのキャラクターはバー「VA-11 Hall-A」にて勤めるバーテンダー・ジル。黒髪ツインテールが特徴の本作の主人公。
どこかアンニュイな雰囲気を漂わせる、煙草と酒を嗜むバーテンダー。彼女にしか見る事の出来ない少女がいたり、過去の傷を忘れられず心に抱えていたりと、バックグラウンドに何かがありそう。物語を進めると、彼女の人物像が少しずつ明かされます。
本作の舞台は2070年代の荒廃したサイバー都市・グリッチシティ。暴徒による物騒な事件といつも隣り合わせの街にて、隠れ家として存在するのがバー「VA-11 Hall-A」だ。店の名前はグリッチシティの番地のようなものが由来しており、「ヴァルハラ」の名前で親しまれている。
ジルはバーと自宅アパートを行き来し、ヴァルハラの客にカクテルを提供しながら話が進むノベルゲーム。家ではネットニュースや匿名掲示板の閲覧も可能だ。客が話していたニュースも確認出来るかもしれない。また、一昔前のドットの主張が強い描写になっており、刺さる人にはとことん刺さる絵になっていると思います。
ジルは家賃や公共料金を支払う義務がある為、注文通りのカクテルを作らなければ満足する賃金は貰えないのだが、ヴァルハラには多種多様な客がいるので一筋縄ではいかない。常連でもないのに「いつもの」と注文したり、カクテルの好みを推測しなければならなかったり、回りくどい表現で注文したり……会話だけでなく、注文の仕方だけでもキャラクターの個性が出るといった、バーならではの面白い仕掛けがゲームシステムに施されています。
作中では実に様々な客がやって来ます。人のみでなく動物やロボット、更には脳みそまでも。そして真面目な話をする客が出て行った後に、好き放題に喋り散らす客が来たりと、ジルだけでなくプレイヤー視点でもつい温度差を感じさせる程の客層の幅広さが目立つ。しかし、これは人と関わり合う仕事をしていれば誰もがあるあると共感するのではないかという感覚を覚えました。過去に小学生から高校生まで勉強しに来る学習塾でバイトをしていたのですが、その体験を懐かしみながらプレイしていました。
カクテルの作成は材料が書かれたレシピを確認しながら行え、失敗してもノーコストで作り直しも出来るので気軽に出来ます。客に応じたカクテルを作らなければならないので、ついついテキストを読み流してしまう人でもプレイにじっくり集中出来ます。客ごとに好みを把握しておけば、後々良い事があるかもしれません。
自分はswitch版でプレイしたのですが、switch特有の程よい振動がカクテル作成と連動しており、地味に好きなポイントのひとつとしてオススメしたいです。材料や氷を入れたり、ミックスする際にそれぞれ特有の振動が起こります。もしゲームハードと振動にこだわりが無ければ、是非ともswitch版をオススメしたいですね。
また、自分は人生でバーに入った事が無いのですが、カクテルを作りながら見ているだけで少し興味が湧いてきました。調べてみた所（バー自体初めて調べたと思う）、家から少し歩いた所に評判の良さそうなバーがあったので良いきっかけ。ゲーム内にて繰り返される台詞「一日を変え、一生を変えるカクテルを！」が印象深い。
冒頭でも書いた通り、主人公ジルには少し訳アリの模様。
ヴァルハラで仕事をしていると、核心に迫る日が近付いていきます。エンディングでは、ジルが長年抱えていたものと如何にして向き合うのか目が離せない。生きているとどうしても後悔してたり引きずったりする事が尾を引いて残ると思うのですが、それに対するメッセージ性を強く感じました。ジルをはじめとする多種多様な登場人物は、皆どこかに人間臭さを持ち合わせています。これは『VA-11 Hall-A』の魅力の一つであり、自分が一番推したいポイント。
あと、もう一つ書かなければいけないのは性に関する描写。
ただ単にジョークとしての下ネタのみではなく、オープンに性の会話が繰り広げられる世界観となっている。セックスワーカーとして働くキャラクターの発言には妙なリアリティを感じ、アンダーグラウンドにおけるサイバーパンクの要素をひしひしと噛み締める。
また、作品全体の世界観を分かりやすく説明したのが、「おしえて！ギャル子ちゃん」とのコラボ漫画だ。4ページの短編なのでぶっちゃけ自分が説明するより遥かに分かりやすいと思う……
https://comic-walker.com/viewer/?tw=2&dlcl=ja&cid=KDCW_MF00000006010144_68
ちょっとノベルゲームやってみたいなと思った時に、気軽に進める事が出来たゲームでした。それで尚、クリア後の余韻が心地良かったので是非。
